【tdr0085】「カーズ」の主人公の名前に託された約束
ピクサー・アニメーション・スタジオが手掛けた長編フルCGアニメーション映画「カーズ」。アメリカでは2006年6月9日、日本では2006年7月1日に公開され、第64回ゴールデングローブ賞アニメーション映画賞を受賞しました。
主人公は赤い車体のレーシングカー「ライトニング・マックィーン」。本作は「スーパー・ルーキー」と注目を浴びる生活で有頂天になり、自分勝手な性格で自信過剰という「典型的な天狗状態」だったマックィーンが、田舎町に迷い込んだことで新たな仲間出会い、成長する物語になっています。
さて、そんな主人公「ライトニング・マックィーン」ですが、曲線美のある赤いボディや名前の響き、どれをとっても格好いいですよね。実は、この名前には「あるアニメーターとの約束」が込められているのです。
そのアニメーターとは「グレン・マックィーン」。
主人公「ライトニング・マックィーン」と同じ名字ということで既にお気づきかもしれませんが、名前の由来になった人物です。彼は「トイ・ストーリー」の「ウッディ」や「モンスターズ・インク」の「プー」などをデザインした優秀なアニメーターでした。ですが、皮膚がんの一種「黒色腫」を患い、治療するも病は体を蝕み続け、助からない状態になってしまいます。
それを知ったスタッフは、「カーズの主役にあなたの名前を使うから」と彼と約束したのです。その後「グレン・マックィーン」は2002年、42歳の若さで亡くなりました。
そして約束は守られ、4年後に公開されたというわけです。作品は評価を受けて、2011年6月24日(日本では7月30日)には続編「カーズ2」が公開、これによりマックィーンの名前がまた表舞台に出る機会を得ました。
「亡くなったけれど、作品の中で名前と共に彼は生き続ける」、そんな気持ちが込められているのかもしれませんね。