【tdr0484】1コマに112時間!?「カーズ2」製作秘話
2006年に1作目を公開し、それから5年後に公開された続編「カーズ2」
ピクサーにとって「トイ・ストーリー」に続く続編作品で、前作の人気の後押しと、こだわりの製作により、その興行収入は前作よりも一億ドル多い結果になりました。
そんな「カーズ2」のこだわりが見られるワンシーンがあります。
それは、2台の車がバーらしきショップに突っ込むシーン。バーカウンターには、まるでお酒を嗜むようにグラスに注がれたガソリンを楽しむ車達の姿。そこに突っ込んでくる2台の車によって、カウンターは崩壊、グラスが落ちて割れてしまいます。
一見するとなんてことのないワンシーンですが、1コマの映像化に112時間(4日と16時間)も費やしています。特にカウンターの崩れ方、グラスの割れ方がナチュラルであるか、に神経を集中させ、身を削りながらも製作しました。
ようやく完成したとき、それを見たジョン・ラセター監督が悪戯心で「いい出来だが少し違和感がある」と口にしたところ、現場は一気に凍りついたそうです。
製作スタッフの立場としては、監督に「作り直せ」と言われたら従うしかありません。
しかし、あれだけの労力と時間が水の泡だなんて誰も考えたくありませんでしたし、気力が湧くはずもありませんでした。
それだけ心身ともに疲れ切っていたわけです。
すぐにジョークと解って、その場の空気も和んだそうですが、もし、ジョークでなかったら・・・スタッフのメンタルが耐えられたのかどうかは謎ですね。