【tdr0485】ピーターパンが結びつけた亡き母と娘の物語
東京ディズニーリゾートには沢山のゲストが訪れます。とはいえ、全ての人が心の底から楽しみにして来ているわけではありません。悩みや迷い、辛い気持ちを抱えたままインパークするゲストも少なからずいます。
ある日、笑顔のない娘を連れた父親が東京ディズニーリゾートを訪れました。
娘は大切な母親を事故で亡くし、心に深い傷を負っていたのです。そこで父親は一泊二日の間で、なんとしてでも娘を笑顔にさせたいと考えました。
夢の国なら娘もきっと辛い気持ちを晴らしてくれる、と信じて。
しかし、父親の想いは叶わず、娘は塞ぎこんだまま。
パーク内を見て回ってアトラクションに乗って、なんとか元気付けようと父親が明るく努めてみても、娘は笑顔を見せませんでした。
母親を亡くしたショックは夢の国でもどうにもならなかったのです。
ましてや、母親のいる家族連れのゲストが目に入れば、どうしたって自分の母親を思い出してしまいます。
そうして娘に笑顔が戻ることなく、1日を終えました。
そんな中、追い討ちをかけるようにショックな出来事が起こります。
母親から貰って大切にしていた「ピーターパンのキーホルダー」を無くしてしまったのです。
すぐに届け出て閉園後に探してもらったのですが・・・残念なことに見つかりませんでした。大好きな母親からプレゼントを貰うことはもうありません。だからこそ大切だった「ピーターパンのキーホルダー」を無くし、娘は悲しみに暮れました。
娘を元気付けようと連れてきたのに、余計に傷つけてしまった・・・父親は悲しむ娘の様子を見て、東京ディズニーリゾートに連れてきたことを後悔したそうです。
そんな、夢の国には不似合いな暗い気持ちで宿泊室にいると、ふとドア前に置かれた手紙に気付きました。
その手紙の送り主は、なんと「ピーターパン」
親子は驚いて、その手紙を読みました。
「君のキーホルダーは僕の宿敵フック船長が盗んでしまったんだ。
で、僕が取り返したんだけど・・・。
君のお母さんがどうしてもそれを欲しいって言っててね、今ティンクが君のお母さんに届けに行っちゃったんだ。
これがあればお母さんはいつでも君に逢いに来れるって!だから君も納得してくれるよね。ピーターパンより」
手紙にはこのように書かれており、それを読んだ娘は曇っていた表情を一変させて笑顔になりました。
「無くしたキーホルダーを大切なお母さんが持っている」・・・そう思うと嬉しくなったのです。久しぶりに見せた娘の笑顔に、父親もまた笑みをこぼしました。
大切なキーホルダーに描かれた「ピーターパン」からの手紙で、娘が負った心の傷が癒された・・・なんとも素敵な話です。
これも夢と希望を与えるディズニーならではの魔法といえますね。