【tdr0251】ゲストのためならマニュアルも破るディズニーリゾートのサービス精神
東京ディズニーリゾートで働くキャストは、最高基準のサービスを提供するために、厳しい研修を乗り越え、数多くあるマニュアルを記憶し、そのルールにのっとって最善の行動をとります。
これにより、多くのゲストが最高のサービスを平等に受けることが出来るのですが、どんなときでもマニュアルが最善の対応を導くわけではありません。
東京ディズニーリゾート内のレストランでは、こんなことがありました。
その日、レストランに一組の夫婦が来店しました。
当然キャストはすぐさま2人を2人分の席へ案内し、オーダーを聞きました。すると、その夫婦は2人分の食事の他に何故か「お子様ランチ」を頼んだのです。東京ディズニーリゾートに限った話ではありませんが、年齢対象外相手に「お子様ランチ」を提供することはできません。
そのため、従来なら「お子様以外の方にはご提供できません」などと言って断りを入れるのですが、そのとき対応したキャストは不思議に感じて、「お子様ランチ」を頼んだ理由を聞いたのです。
すると、本当は夫婦の子供を連れて来るはずだったこと、その子供が前の年に亡くなってしまったこと、そして夫婦が訪れた日が子供の誕生日だったことを告げられました。
夫婦は子供が亡くなる前に、「一緒に東京ディズニーリゾートのレストランでお子様ランチを食べよう」と約束していたため、その約束を果たすために「お子様ランチ」を頼んだのです。
その理由を聞いたキャストは「お子様ランチ」の注文を了解し、夫婦を広めのテーブル席へ再案内しました。そしてそこにキッズチェアを置き、形だけでも約束を守れるようにと家族3人の空間を用意したのでした。
夫婦はこのキャストの対応に感激し、後日感謝の手紙を送付。
これにより話が知れることとなり、社内報に掲載され、そのキャストは周囲から賞賛されました。
本来であれば守らねばならないマニュアルとルールですが、必ずしもそれを順守することが最善であるわけではない・・・この話はそのことが示されたケースと言えます。
「何がゲストのためになるのか」ということ考えて臨機応変に対応したからこそ、夫婦が子供との約束を果たせたのですから。
マニュアルやルールだけでは一流のテーマパークにはなれないということですね。