【tdr0076】「モンスターズ・インク」のサリーの毛並みはどうやって作られた?
ディズニーとピクサーの共同制作により制作された長編フルCGアニメーション映画「モンスターズ・インク」。ピクサーが手掛ける長編アニメーション作品としては第4作目になり、(トイ・ストーリーなどの監督・脚本を務めた)ジョン・ラセターがピクサー作品において初めて制作総指揮につき、ピート・ドクターが初監督を務めた作品です。
アメリカでは2001年11月2日、日本では2002年3月2日に公開され、5億ドルを超える興行収入を得る大ヒットとなりました。
さて、そんな「モンスターズ・インク」ですが、これまでのピクサー作品とは違い、苦労した点があります。それは・・・「モンスターの毛並み」です。名作「トイ・ストーリー」や「バグズ・ライフ」と違い、「モンスターズ・インク」には全身毛むくじゃらのモンスターが多く登場します。
この「毛むくじゃら」を描くために、ピクサーは相当な労力を使うことになりました。
まずは、どのように「フサフサ感」を演出するかです。
当然、体毛を増やせばいいというわけではありませんから、自然な毛並みがどのようなものか、ゴリラやオランウータン、バイソンなどの体毛の本数、質感、動きを参考にしました。これにより、主人公である「サリー」は2,320,413本という大量の体毛を得ることになったのです。
とはいえ、フサフサであっても、自然な動きがなければ、そこに違和感が生じてしまいます。そこで、乱数発生装置(ランダム・ナンバー・ジェネレーター)を用い、ランダムに動く自然な毛並みを表現したのです。これにより、当時のピクサーは高い評価を得ることになりました。
ただ、この作業が想像を絶する以上に困難で、当時のコンピュータ処理能力の限界も関係し、サリーの毛を描くのに1コマ約12時間を要しました。また、演算能力的に「毛の多いモンスターは1コマに1人」という制約つきでした。
これらの苦労を乗り越え、名作「モンスターズ・インク」が完成したのです。