【tdr0071】「リトル・マーメイド」のアースラはタコ足ではなかった?

ハンス・クリスチャン・アンデルセンの「人魚姫」を原作とした、ディズニー最後の劇場版セルアニメーション「リトル・マーメイド」。アメリカでは1989年11月17日、日本では1991年7月20日に公開され、ディズニー映画の第二黄金期の原点といわれた作品です。

この「リトル・マーメイド」に登場するディズニー・ヴィランズ(ディズニー作品における悪役)は、下半身がタコ足になっている白髪のふくよかな女性「アースラ」。血色の悪さや、ケバケバしいメイクが、見事に悪役感を醸し出しているキャラクターです。表面上は主人公である「アリエル」の味方を装い、裏で画作する姿はまさに悪役そのもの。

さて、そんな「アースラ」、今でこそタコ足姿が当たり前のように馴染んでいますが、このデザインに至るまでに、相当なデザイン案が上がっていたことをご存知でしょうか?「リトル・マーメイド」に登場するキャラクターの中で、一番デザインで悩まされたキャラクターとも言われています。

当初、「アースラ」の初期デザインはカサゴでした。カサゴというと背びれなどにトゲがあり、毒を保有している魚ですね。つまり、初期の「アースラ」は、胸から下がカサゴ特有のマーブル柄で、トゲトゲしたヒレを持つキャラクターだったのです。これはこれで毒々しい感じがあり、ディズニー・ヴィランズ的には申し分ないような気もしますが、最終デザインに比べると、どうしても劣ります。

このカサゴ案がボツになったあとも試行錯誤は続き、ついにタコ足に辿り着いたときも、一筋縄ではいきませんでした。

タコ足案で出されたデザインの中には、最終デザインであるふくよかな姿とは真逆の、やせ細った姿のデザインもありました。しかも、顔は年老いてシワシワで、意地悪そうな表情ではあるものの、パワフルさに欠ける仕上がり。

これでは大暴れも出来そうにありません。

我々からしたら「完成された姿」が初めて見る姿になるのですから、デザイン案はどれも違和感を覚えてしまいます。ですが、その最終デザインという「正解」に辿り着くには、多くの苦労が重ねられているということを知らなければなりませんね。

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