【tdr0200】観光業と接客業を驚かせた「東京ディズニーランドの接客」とは
東京ディズニーランドのオープンは、今からおよそ30年前です。
実は、オープン当時の東京ディズニーランドでもっとも話題になったのは、シンデレラ城でもアトラクションでもありませんでした。
東京ディズニーランドの接客は、すごい。
この言葉が、日本全国で観光業や接客業に関わる人々の間に、急速に拡がりました。
東京ディズニーランドの接客を現場へ見に行くべきだというので、社員旅行の行き先を、急きょ東京ディズニーランドに切り替える会社もあったほどです。現在も引き継がれ、進化し続ける「ディズニーランドの接客」のポイントをご紹介します。
1.子どもと話すときは、しゃがむ。
子どもと目の高さをあわせて話すためです。オープン当時、最も話題になったポイントでした。当たり前のことのように思えますが、自分自身が日ごろの業務でそうしているか問われたとき、「子どもと話すときは必ずやっています」と自信をもって答えられるでしょうか。
当時の観光業者・接客業者を最も驚かせたのが、このポイントでした。
2.「わかりません」と返答しない
ゲストからの質問を受けた場合、キャストは「わかりません」と答えてはいけません。キャストが「わかりません」と答えてしまうと、ゲストが疑問の解答や問題の解決を得られないまま、そこで話は終わってしまいます。
キャスト自身が知らないことであっても、インカムでオペレーターに問い合わせることができますし、他の方法もあります。
「わかりません」で話を終わらせてはならないのです。
3.東京ディズニーランドにとっては、日常そのものが存在しない
ディズニーランドの存在意義の一つは「夢の国」であること、日常とは別世界であることです。「夢の国」と「日常生活」との切り離しは、完全に行われなければなりません。ディズニーランドのキャラクターたちは、ディズニーの世界以外のことは知らない、日常生活の存在自体を知らないとされています。
キャラクターを演じるアクターには、キャラクターそれぞれの性格、声、好み、興味関心、バックグラウンドストーリーから外れないことが要求されます。
キャラクターとしてサインするときも、ただ書けばいいというものではなく、自分が属するエリアのキャラクターたちと同じ文字スタイルでサインできるよう、練習するそうです。
4.方向を示すとき、指1本だけを使ってはいけない
キャストやキャラクターたちは指1本で人や方向を指し示すことを禁じられています。そうでなくともゲストへの失礼にあたる行為ですし、「子どもが見やすいように」という意味もあるそうです。「あちらです」という時は、きちんとすべての指を揃える。このとき、指先の表情にまで気を配らなければなりません。
5.ゴミの拾い方は「優雅に急降下」
ディズニーランドの路上にゴミが落ちているとしても、夢の国にゴミというものはない、とされているようです。
「夢を拾っている」と表現したキャストもいるそうです。キャストがパーク内に落ちているゴミを拾う場合、「優雅に急降下して」拾うきまりになっています。汚いものをよっこらしょとしゃがんで拾ってゴミ箱へ・・・は、やらないのです。
6.キャラクターには身長制限がある
キャラクターはかぶりものなのだから、身長に関係なく仕事ができそうですが、オーディション選考の条件として、それぞれのキャラクターごとに決められているそうです。
ディズニープリンセスの場合も、身長は162㎝~172㎝が条件だそうです。
7 ソーシャルメディアは禁止
キャストたちは、ツイッターなどのソーシャルメディアサイトは使用禁止とされています。
いくら禁止しても写真などが流出する企業があるのに、ディズニーランドでそれがないのは、キャストたちの「夢の国を護る」という心意気です。
8.「清潔」を重視する
ディズニーランドが業務上もっとも重視するのは「清潔」と言われています。毎日閉園後に、大規模で徹底した清掃が行われています。「赤ちゃんが地面をハイハイしても問題がない」状態を目標としているそうです。
もちろんキャストも清潔感が重視されます。
男性の髪形は「きれいに揃える」「対称的な外観で」「バックとサイドをカットする」など。女性は「きちんと自分の髪をとかす」「常に整える」「オーソドックスで維持しやすいスタイル」など。
男女ともきれいな爪を維持し、一定の長さにカットしておく必要があります。
メガネはしてよいのですが、ディズニーランドの雰囲気を壊さないもの、標準的な色合い、ブランド名やロゴが目立たないなどの決まりがあります。これも衣装やショーの内容によっては使用不可となります。
9.最高の接客を追及する
ディズニーのキャストはいかにふるまうべきか、他企業の社員とは比較にならないレベルの細かい制約があります。厳しい制約があるだけでなく、キャストたち一人ひとりが、最高の接客とはなんであるのか、常に自ら考えながら行動しています。
ディズニーランドで最も重視しているのはホスピタリティ。ホスピタリティにもとづき、自ら考え、行動するキャストたちによって、ディズニーランドは運営されているのです。