【tdr1597】「トイ・ストーリー3」は全く別の物語になるところだった?
2010年6月18日(日本では2010年7月10日)に公開された映画「トイ・ストーリー3」
サニーサイド幼稚園での悲惨な扱いや大学生になったアンディと玩具たちの別れなどが描かれた本作品ですが、当初は全く異なる内容のものを“ピクサー抜き”で制作されていました。
一体何故、そのようなことが起きたのでしょうか。
そもそも、ディズニーとピクサーは映画「カーズ」の時点で配給契約が切れることになっていました。制作はピクサー、配給・販売促進はディズニー、というかたちで、「トイ・ストーリー」公開後“10年で5作品の制作費と興行収入を二分配する”契約を結んでいたのです。
これによりディズニーはピクサー映画とキャラクターの著作権を手に入れていました。
契約からしばらくは良好な関係にあったディズニーとピクサーでしたが、「トイ・ストーリー2」で一変。
当初、ビデオリリースとして制作されていた「トイ・ストーリー2」の出来の良さに感銘を受けたディズニーがこれを長編映画に昇格させたところまでは良かったものの、この作品を“5本のうちのひとつ”として数えるようピクサーが要求し、ディズニーがこれを拒否したのです。
そこで両者は新たな契約を結ぼうと話し合いをしたものの、合意は得られず・・・。
ピクサー映画の権利とキャラクターの著作権を持っているディズニーは独自に続編を制作出来るようにと「サークル7アニメーション」というCGスタジオを設立し、「トイ・ストーリー3」の制作に着手したのです。
サークル7アニメーションでジム・ハーツフェルド氏が書いたストーリーは以下の通り。
《幻のトイ・ストーリー3》
バズ・ライトイヤーが故障してしまったため、ウッディたちは製造元である台湾の工場にバズを送った
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その後、バズ人形の不良品が多くリコールされていることを知ったウッディたちは、バズが修理されるのではなく処分されてしまうのではないかと不安になる
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バズを救出するため、台湾に向かう
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いかつい奴に出会うバズ
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殺伐とした玩具工場
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大きなロボットと対面するバズ
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修理されるバズ
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玩具の監獄
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風船を使って脱出
ディズニーがピクサーを買収しなかったら、「トイ・ストーリー3」は以上のような内容の物語になるかもしれなかった訳です。
ある場所から玩具を救う、という流れはトイ・ストーリー2にもありましたし、玩具の監獄というコンセプトは今現在のトイ・ストーリー3にもある内容なのですが、やはり子供と玩具の別れ、そして新しい出会いという“必ず訪れる日”が描かれている今の内容と比べると面白みに欠ける印象です。
日本のアニメ業界でも続編制作会社が変わるということは割とあることなのですが、会社が変わると同じタイトルでも別作品のようになり、ファンが嘆く・・・ということが多くあります。
今回、ディズニー製トイ・ストーリー3が実現しなかったことは本当に良かったといえますね。