【tdr1715】「タワー・オブ・テラー」の掲示板には何が書かれている?その3

東京ディズニーシーのアメリカンウォーターフロント内にある大人気アトラクション「タワー・オブ・テラー」

そのスタンバイ列入口付近には3枚の掲示板が設置されています。

掲示板にはそれぞれ新聞のスクラップや写真が貼られていますが、どれも英語なので雰囲気で見ている人も多いのではないでしょうか?

ということで、今回は“入口手前の掲示板”上部に貼られた新聞スクラップ”について、ざっくりと意訳したいと思います。

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発行日:1899年12月19日

見出し:HARRISON HIGHTOWER RETURNING FROM AFRICA
    “ハリソン・ハイタワー アフリカから帰還”

小見出し:ハリソン・ハイタワー三世 コンゴ川遠征からの帰還

※この記事はアフリカにいるハイタワー三世本人から直接送られてきた手紙を元に書かれたもの。

【記事左側、ハイタワー三世のイラストの下】
来週初め、12月28日辺りにハイタワーのヨットがニューヨークの造船所に戻る予定。

1899年12月31日、新年前夜にパークアベニューで限られた招待者のみ参加することが出来る祝賀パレードを開催予定。

運がよければ「シリキ・ウトゥンドゥ」を垣間見ることが出来るでしょう。

【記事中央あたり】
11カ月前、ハイタワー三世はアフリカでもっとも危険といわれるコンゴ川流域の探査に出かけた。

前人未到の地域をゆくハイタワー三世は、背筋が凍りつくような話を聞いたものの恐れず進み、東アフリカで苦難に耐え、ビクトリアフォールズの岩山の部族を退けた。

しかし、コンゴの熱帯気候やワニの出没などが彼のまえに立ちはだかった。
それらの危険を退ける備えは万全ではなかった。

1899年1月、ニューヨーク市が雪で覆われていたころ、ハイタワー三世はアフリカの西海岸に沿ってロアンゴ、フランス、コンゴの港に向かい、蒸し暑い中をヨットで進んだ。

熱気は非常にきつかったものの、この先にはもっと熱く恐ろしいことが待っていると従者達を高圧的に笑い飛ばした。

アフリカで最も危険な川の川上には、原始的な儀式を実践する部族が支配しており、フランス人ガイドは「この先に進むのはやめた方がいい」とハイタワー三世に懇願した。

しかし、ハイタワー三世は耳を傾けず、小さな部隊を組み、金に物を言わせてカヌーを漕がせた。

彼は従者スメルディングと18人の武装した部下、3名のカメラマンにコックとポーターなど、約30名のスタッフを連れて進んだ。

そして彼らの前に現れた原住民族がハイタワー一行に攻撃を加え、その数は3分の2までに減っていた。

攻撃を受け続け、遠征が失敗になりかけた一行は、ガイドの「もう引き返すべき」という話を聞きいれ、何も美術品を入手していなかったものの、引き返すことにした。

7月16日、人数の減ったハイタワーの部隊は怒り狂った部族に追われていた。

ボートを漕いで川上へと逃げる部隊の周囲には追っ手が投げるやりが飛びかい、悲鳴が響いた。

原住民たちはカヌーで追いかけ、叫びながら襲ってきていたが、川の支流付近にあるツイストツリーに緑の目をみつけ、去って行った。

部隊の通訳が「ここからはムトゥンドゥ族の領土です」と恐る恐る伝えた。
ムトゥンドゥ族は黒魔法を用い、呪いを操る部族で、通訳は引き返すように伝えた。

しかし、原住民族とたたかい、疲弊した部隊には引き返す余地はなく、不吉な雰囲気の河をカヌーで進むしかなかった。

そして、ムトゥンドゥ族はハイタワー三世の部隊を腕を広げて歓迎してくれた。祝いのために自分たちの村に来るように、と。

彼らは火を使うことを許さなかった。そのため葉巻に火を着けたハイタワー三世に慎重に注意を促した。

歓迎の宴が行われる中、ハイタワー三世は村の中心部にある祭壇の上に置かれた古代の偶像「シリキ・ウトゥンドゥ」のことを知った。

部族の呪術師が大昔の古木を彫って作ったもので、黒魔術を増幅させるために打ち砕かれた金属の破片や釘で覆われており、呪術師の骨の一部も入っていた。

この地域全体の部族の中で、この偶像は重要なもので常に盗もうとする者もいるらしい。

ハイタワー三世は醜い偶像に魅力を感じ、「シリキ・ウトゥンドゥ」を手にとった。そして首長のキジャンジに自分たちが持つ「ビーズ」と交換してほしいと声をかけた。

キジャンジはそれを断り、すぐにハイタワーの手から偶像を取り返して、祭壇の上に戻した。その顔には笑顔はなかった。

その後ハイタワーは武力で奪取するため、部下たちに隠し持っていた武器を持たせ、逃げ道を確保させた。

そして再び「シリキ・ウトゥンドゥ」を祭壇から取り、ボロボロの金属片で手を切った。

ムトゥンドゥ族はその様子を一部始終“無表情”で見つめ、立っていた。

その目は憎しみに満ちていたが、略奪を防ごうと動くことはなく、しばらくすると歯を見せて笑いはじめた。

そしてハイタワー三世は「シリキ・ウトゥンドゥ」を手に帰還。途中で前に襲ってきた部族と遭遇するも、その手に偶像を見るや、川に武器を捨て、事なきを得た。

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かいつまんだものの、新聞の中身は上記のように“ハイタワー三世が遠征し、偶像を手に入れるまで”が書かれています。

この記事から、「シリキ・ウトゥンドゥ」を手に入れるために部下が10人ほど犠牲になったこと、ムトゥンドゥ族が“わざと偶像”を奪わせたことが解ります。

偶像には守らなければ呪われる決まりが6つあり、その中に「偶像を置き去りにしたり、捨てたり、人にあげたりしてはならない」というものがあります。

ムトゥンドゥ族はこの決まりを守るために表向きは交換話を拒否し、略奪を見逃したというわけです。実に細かいバックグラウンドストーリーですね。

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