【tdr1750】「歯痛ガム」の広告から読み解く時代背景

1900年代初頭のアメリカを描いたアメリカンウォーターフロントでは、あらゆるところに“レトロな時代”を彩るプロップスが飾られており、時代を描く看板や広告もまた雰囲気作りに一役かっています。

デランシーストリートには、そんな広告や看板があちらこちらで見られるのですが、今回はその一つをご紹介します。

エレクトリックレールウェイの乗車口にある階段に、“歯が痛くて頬が腫れている少年”が描かれた広告が貼られています。

絵だけ見ると、虫歯治療系の広告のように見えますが、これは「DALYRMPLE’S Toothache Gum(ダリンプルの歯痛ガム)」の広告。

全くもって何のことやら想像つかないですよね。

広告にある説明文によると・・・

「STOPS TOOTHACHE INSTANTLY.The only Perfect Remedy.It is antiseptic,arrests decay,is healthful to the teeth and gums.Highly recommended by leading Dentists.
(すぐに歯痛を止めます。唯一の完璧な対策です。これは消毒剤であり、虫歯を阻止し、歯と歯肉の健康を守ります。最高の歯科医によって推奨されています。)」

と書かれています。

このガムを使うことで歯が消毒されて歯と歯肉が健康になる・・・とのこと。

「噛むだけで痛みがとれるなんて素晴らしい!」と思いたいですが、実際のところこれはチューイングガムのような代物ではなく、詰め物・被せ物として使うものかと思われます。
(実際アメリカでは「Toothache Gum」という詰め物が販売されています。)

また1990年代、アメリカの歯科医師が患者の口内に残っていた銅セメントに注目して研究を始め、ドックスベストセメントという無害で殺菌力に優れた治療法が開発されています。

これは、虫歯の上にドックスベストセメントを置いてミネラルの力で虫歯菌を殺菌、歯の再石灰化を促すという治療法です。

年代的にもピッタリですし、この広告はそうした時代背景で生まれたものとみてよさそうですね。

因みに余談ですが、セイリングデイ・ブッフェの横浜行き荷物の中には、この広告にある「TOOTHACHE GUM」が含まれています。

お暇なときに探してみてくださいね。

関連記事

ページ上部へ戻る