【tdr1944】日本語版「アラジン」のジーニー吹き替え舞台裏話
日本では1993年に公開された映画「アラジン」
本作でジーニーの声を担当したのは、“七色の声を持つ男”と呼ばれるベテラン声優「山寺宏一」
ディズニー作品ではジーニーの他にドナルド・ダックや野獣(美女と野獣)、スティッチ(リロ&スティッチ)など様々な作品で活躍している他、エディ・マーフィーやウィル・スミス、ロビン・ウィリアムズにジム・キャリーなど、コミカルな演技をする俳優の吹き替えでもお馴染みですね。
抜群のトーク力を持っている山寺氏ですが、ジーニーの吹き替えには神経を遣い、原語版のロビン・ウィリアムズに負けないよう試行錯誤をしたそうです。
特に大変だったのが、ロビン・ウィリアムズが披露したアドリブと、ミュージカル部分。
ロビン・ウィリアムズに負けないアドリブとモノマネ
海外だからこそ解るジョークやモノマネが多いロビン版ジーニー。
それを日本語版にただ訳しても当然ですが日本人には解りませんから、日本版では日本人に伝わるジョークやモノマネに変更されています。
例えば「絨毯に負けるなんて“じゅうたん”じゃないよ」だとか、「美川憲一」のモノマネだとか・・・これは日本人だから笑える内容ですよね。
このように山寺氏はロビン・ウィリアムズに負けないよう、スタッフと話し合いながらもアドリブを連続させてジーニーのアテレコをしていきました。
何回も聞いて似せるプロ根性
「フレンド・ライク・ミー(Friend Like Me)」や「アリ王子のお通り(Prince Ali)」の原語版、日本語版を聞き比べてみると解るのですが、かなりロビンの歌い方に似ています。
これは、山寺氏が何度も聞き返して「似せた」ため。
これにより、誰が聞いても「似ている」と感じられるミュージカルが完成しました。
実際、この日本語版を聞いたアメリカ人の中には「日本のロビン・ウィリアムズだ」、「ロビン・ウィリアムズが日本語を話している!?」という感想を持った人がいるほど。
一発撮りだった「フレンド・ライク・ミー」
ジーニーがランプから飛び出して、最初に歌う「フレンド・ライク・ミー」
約2分半の歌で、コロコロと変わる声音とハイテンションな歌声が特徴的ですが、実はこの歌、本番一発で録音されたもの。
流れるように紡がれた歌声だからこそ魅力的な曲でもあるのですが、それでも実際に一発でOKを出すなんて、山寺氏の才能と努力があってこそ。
さすが、「七色の声を持つ男」ですね。