【tdr0710】日用品で演出?「ウォーリー(WALL-E)」の効果音の製作秘話

リアルで刺激的なアニメーションにするために必要不可欠なものが「効果音」

ただ歩くだけの動作でも効果音があるのと無いのとでは雲泥の差が生まれます。

さて、アニメーションの効果音は、その動作のためだけに作る場合と既存の音(生音)を利用・加工する場合とに分かれます。多くは後者で、動作とは全く関係のない音が割り当てられることも珍しくありません。

ざるなどに乗せた小豆を左右に揺すって波の音を再現するという技法は有名ですよね。このように、効果音には意外な組み合わせで収録されているものがあるのです。

実は、29世紀が舞台の長編フルCGアニメーション「ウォーリー(WALL-E)」の中にも、驚きの組み合わせで収録された効果音があります。

作中に登場する微生物除去機の「M・O(モー)」が掃除をするときの音なのですが、一体なんだと思いますか?

なんと「髭を剃る音」なのです。

髭剃り音を提案したのは「ベンジャミン・ベン・バート・Jr(以下ベン・バート)」

アメリカのサウンドデザイナーで、「スター・ウォーズ」に登場するR2-D2の声(機械音)やライトセーバーの音の他、「シュコー」という音が印象的なダース・ベイダーの重呼吸音を作成したことで有名な方です。

今回の掃除音も彼のアイデアによるもので、ベン・バート自ら髭を剃って録音。それを加工し、効果音として利用しました。

ベン・バートは他にも様々なアイデアを出し、作中の効果音を割り当てて行きました。

彼の友人が飛ばすラジコン飛行機の音を「イヴ」の飛行音に割り当てたり、「ウォーリー」の友人であるゴキブリ「ハル」が動く音にはベンが所有する(効果音用の)手錠をこすり合わせた音を合わせたり、とサウンドデザイナーならではのテクニックを披露しました。

ちなみに「ウォーリー」と「モー」の声は、ベン・バートの声がベース。

自分自身も素材とし、様々な効果音と作るとは・・・さすが一流のサウンドデザイナーですね。

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