【tdr0881】手塚治虫が「バンビ」「ピノキオ」を漫画化していた?

ストーリー漫画の第一人者であり、現代の漫画表現の基礎を作ったと言われる、漫画界の巨匠「手塚治虫」

「火の鳥」や「ジャングル大帝」、「ブラック・ジャック」に「鉄腕アトム」など、数多くの名作を世に送り出し、死してなお影響力を持つ、日本が誇る漫画家です。

生前、彼は「ディズニー狂い」と自称するほど、ディズニー作品を愛していました。

9歳のころ初めてディズニー作品を鑑賞して以来、「白雪姫」を50回以上、「バンビ」を80回以上映画館に見に行くほどハマり、ディズニーキャラクターを模写し続け、ついには「本家のディズニーに送りたいほど(本人談)」のクオリティまで上達したという逸話を残しています。

そんな「ディズニー狂い」である手塚治虫は、過去にディズニー作品の「バンビ」と「ピノキオ」を勝手に漫画化し、刊行したことがあります。

今でこそ考えられないことですが、その当時は著作権に対する考え方が甘かったのです。

はじめに、彼は大好きな「バンビ」を漫画化し、1951年11月10日、鶴書房より刊行しました。B6判80頁で定価90円(当時価格)

物語や背景はディズニーのものに近いのですが、手塚治虫が持つ独特のセンスが散りばめられており、その絵もディズニー完全コピーではなく、手塚治虫らしいタッチになっています。

そして次に、「ピノキオ」を漫画化。1952年6月5日に東光堂より刊行され、B6判128頁で定価100円(当時の価格)販売されました。こちらの漫画も、版権自体はディズニーなのに手塚治虫の色が滲み出ており、ディズニー作品とも手塚作品とも取れない作品となっています。

時代が時代とはいえ、著作権を無視して制作されたこれらの漫画は、長い間「復刊されることはない」と言われていました。

しかし、ディズニー側からの要望で2005年にまさかの復刊を遂げたのです。このニュースに多くの手塚ファンは驚き、喜びました。

今では考えられないこととはいえ、日本の漫画界の巨匠と世界を牽引するアニメーションがコラボする貴重な作品と言えますね。

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